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イトーヨーカドー労働組合
中央執行委員長

小鷲 良平

今を切り拓く先にある未来 〜新たな組織のチカラが突破力〜

イトーヨーカドー労働組合
中央執行委員長

小鷲 良平

 本日、2つの組織が統合し、新生組織としての第1回定期中央大会を開催する運びとなりました。  今日に至るまで、旧イトーヨーカドー労働組合ならびにイトーヨーカドー労働組合ヨーク分会(前身となるヨーク労働組合)が発展・成長をし、半世紀にわたり活動を進められたこと、そして統合を経て新たな組織として活動年度を迎えられることができましたのは、両組織に集う組合役員・組合員の活動参画はもとより、UAゼンセン・流通部門・都道府県支部・部会所属組合、友好労組、OB・OGなど多くの方々のご厚情とご指導の賜物であると深く感謝を申し上げます。加えて、これまで良好な労使関係を築くことができましたのも経営の皆様の深いご理解とご協力のおかげと重ねて感謝申し上げます。

I.新生イトーヨーカドー労働組合の誕生に際し

2つの労働組合の統合企業成長を望む未来の創造

 2023年9月に(株)イトーヨーカ堂と(株)ヨークが統合され、首都圏食品戦略をベースに構造改革・Will Changeを推進してきました。2025年9月にはヨーク・ホールディングスの新たなパートナーとして、ベインキャピタル社との協働の手続きが完了し、グループ・企業ともに大きな変革の局面を迎えております。現状、この先の与件についても、大規模な事業移管、人事処遇制度や就業規則の改定、各種システムの移行・統合等、大きな労使協議案件が想定されるなか、企業別労働組合がしっかりと経営と向き合い、信頼のおけるカウンターパート(組織は異なるが同等の機能や役割を果たす相手)であることと、そのうえで労使による生産性向上に取り組むことが極めて重要であるという認識を第一義に、ここまで組織統合に向けた協議を両組織で進めてきました。同年6月に臨時中央大会を開催し、統合に関する決議を経て、今日に至ります。

新しい組織に希求すること

 イトーヨーカ堂グループにアイデンティティを持つ2つの組織ですが、ここまで大切にしてきたそれぞれの組織風土や文化は全く同じではありません。統合をされていくタイミングは、新しい時代のスタートラインに立つということであり、新たな組織として一定の時間の経過をもって馴染ませ、成熟をさせていくものだと考えます。まず大切なことはそこに集う組合員の気持ちに寄り添い、同じ未来を描き、手を携えることです。組織の基本的な考え方をベースに、活動を推進していきましょう。皆さんの参加・参画をよろしくお願いいたします。

Ⅱ.取り巻く社会環境、情勢について

私たちを取り巻く社会環境

今年度の最低賃金の引き上げ水準は、39道府県が国の目安に上乗せをする形で、全国平均で2024年度から66円増の1,121円と、過去最高水準になりました。賃上げは物価高騰に最も有効な対策とされるなか、2030年までに1,500円に到達させるという政府方針が出されているなど、今後も高い水準で賃金は引き上がっていきます。
 現状、日本国内を取り巻く環境は依然として大きな変化に見舞われ、少子高齢化や都市化、テクノロジーの進展、グローバル化など、その影響は私たちの日常生活にも色濃く反映されています。特に労働市場や社会保障制度に及ぼす影響は大きく、マンパワー産業である私たち企業・グループは注意深く動向を観察し、対応を考えていかなければなりません。こういった兆候は、価値観やライフスタイルを多様化させるだけでなく、経済効率性を追求したシステムを崩壊させ、格差社会を進展させる可能性が秘められていると言われています。環境変化による失職や労働条件の低下リスクに備えつつ、キャリアを築いていくという重要性は今後も高まっていきますし、私たち労働組合という視点で捉えれば、「雇用の維持」や「賃金・労働条件の改善」などの組織使命は、働く価値観が変わっていく今この時代にあって非常に大きなものになっていると言えます。「働くということ」そのものを再定義し、向き合い方を変えていかなければならないのです。

私たちのグループ・企業を取り巻く環境

 前述したように、私たちのヨーク・ホールディングスは2025年9月1日から新しい経営体制に移行しました。事業会社内における手続きなどのルールや仕組み、または営業に関わる考え方や指針など、今後のグループ・企業の成長を描くなかで改めて協議がなされ、2025年度末までにはこの先に向けた中期経営計画が示される方針です。最速で2028年までに持ち株会社としてのIPO(株式再上場)が目標に定められており、グループとしての価値を最大限に高める施策が打ち出されます。私たち組合員=労働組合は、積極的な経営参画を模索し、現場から生産性向上をめざした課題を提起し、私たち自身の考動でその実現を目指していかなければなりません。私たち自身がイトーヨーカ堂の未来像、そこまでの道のりと実現に必要な取り組みについて明確なビジョンを持つことが求められます。この先も引き続き不確実性の高い経営・事業環境が続きますが、ブレてはいけないことは今ある現場力を維持・向上させ、成長の可能性を高め続けることにあります。その源泉は私たちの働く意欲であり、それが今を切り拓く突破力になるのです。

Ⅲ.めざす組織像と基本的な考え方

変化する時代と環境、
労働組合に課せられる使命と役割

 労働組合として組織している以上、私たちは使命をもっています。使命とは与えられた果たすべき重要な務めであり任務です。労働組合の使命はそこに集う「組合員の幸せ」を実現するために絶えず考動することであり、そのために「企業を持続・成長」させることです。労働組合組織は組合員そのものであり、すべての人は権利と義務を有します。そして役割とは使命を果たすために割り当てられた役目であり、労働組合役員は活動推進の役目を請け負い、組合員は組合員同士が団結し、あらゆる形でその活動に参加・参画するということが役目です。私たちは組合員全員で活動を推進し、声を掛け合い「強い現場力」を保つことをめざし、そのプロセスのなかで成長し、人を創造し続けることが求められるのです。

ダイレクトコミュニケーションにより高める団結
~近づかなければ近づけない~

 テクノロジーが著しく進展したことで、SNSの普及、生成AIの実用化、リモートワークやテレワークの多用化など、コミュニケーションのあり方は大きく変わってきました。しかし、コミュニケーションとはインフォメーションであってはならず、インテリジェンスでなくてはなりません。「インテリジェンス」とは得られる情報だけに留まらず、その先にある判断や行動に繋がるよう、その情報から検証や推察を行い、より有益な発信となるよう行為を起こすこととされます。現代においては利便性が求められる陰に、コミュニケーションそのものが一方的な情報発信になっている側面が多く見受けられます。労働組合の活動はface to faceでのお世話活動、膝を突き合わせての議論が重要とされてきました。誠意をもって声をかけ、お互いに気持ちを高めることが、活動に取り組む一歩を生み出します。伝わっているかという意識、理解してもらおうとする工夫など、そこに至るまでの準備も含めて自らを奮い起こすプロセスとなり、相手の気持ちを震わす言葉に繋がります。自らが相手に近づくこと…近づかなければ、決して近づくことができないのです。時間的価値が高まるなか、バランスを保ちながら、ダイレクトコミュニケーションの重要性に改めて目を向け、活動を推進していきたいと考えます。

人が成長する、能力や意欲が活かされる
グループ・企業の成長をめざして

 働きやすい職場とはどのような環境でしょうか。やりがいや働きがいが実感できる、成果に見合い、納得できる評価が得られる、あるいは契約に基づいた労働時間や休日取得により自分時間も大切にできるなど…。労働力の確保が難しい雇用市場となり、企業は多様性などにも対応しつつ営業活動をしていかなければならない時代です。人件費はコストである以上に、未来を創造する投資の対象であり組織の重要な資本となりました。私たちのグループ・企業は「人を大切にする会社」をめざすと指標が掲げられています。しかし一方で、私たちは自らを高め、成長し、大切にされる、かけがえのない存在であり続けるよう取り組まなければなりません。「涸れた井戸から水は汲めない」という基本的な考え方は、私たち自身が主体的に考動し、成長を求めていくという民主的労働運動の原則です。健全で対等な労使関係を進化させ続けていくためにも、多くの組合員が活動に関与(参加・参画)し、課題解決する力(自らも行動する意欲)を醸成していくことが求められます。

205支部約18,000名の組織規模仲間の気持ちを
この先の未来を創るチカラに代えて

 労働組合の経営参画とは高い信頼をもとに団結して得られる「組合員の声」を集約し、課題と解決に向けた提案と行動を起こすことです。「組合員の声」とは意思であり、可能性をカタチにしていくためのチカラです。大きな変革の局面において、活動の原点に立ち返り、着眼大局・着手小局の精神で課題解決にあたっていけるよう、自らの手で未来を切り拓いていくための一支部一組合の確立をめざしていきましょう。それは組合員の参加=組織力であるという基本なのです。構造改革途上のなか、私たちは、この先の未来に不安を抱く仲間の声に耳を傾け、寄り添い、時に励まし、課題改善に向けての声を取りまとめ、経営に参画していきます。そして、自らの考動でその未来の不安を払拭すべく、共に前を向くのです。仲間の数はチカラに変わります。205支部約18,000名の想いを結集し、活動を推進していきましょう。多くの仲間の組合活動への参加・参画をよろしくお願いいたします。

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